日本アンチ・ドーピング機構初代会長黒田善雄先生を偲んで
スポーツ医学とアンチ・ドーピング活動の国際的な発展に多大な貢献をされた本機構名誉会長の黒田善雄(くろだ よしお)先生が2025年2月17日に逝去されました(享年101歳)。
黒田善雄先生は、東京大学教授、順天堂大学教授、日本女子体育大学教授、横浜市スポーツ医科学センター長などを歴任され、2001年には、世界アンチ・ドーピング機構設立に伴い、わが国のアンチ・ドーピング活動の統括組織として創設された財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の初代会長に就任され、わが国のアンチ・ドーピング活動の発展にご尽力されました。
また、わが国が、第二次世界大戦から復興した証として国をあげて開催した1964年の東京オリンピック競技大会では選手村診療所長を務められ、その後、国際オリンピック委員会(IOC)医事委員、アジアオリンピック評議会(OCA)医事委員長として活躍されました。特にアジア地域におけるスポーツ医学そしてアンチ・ドーピング活動のリーダーとして各国から尊敬を集め、1985年の神戸ユニバーシアード競技大会の際にはアジア初のドーピング検査分析機関の認証をIOCから取得されるなど、アジア地域のスポーツの発展に寄与されました。
また、わが国スポーツ医学のパイオニアとして、1990年には日本臨床スポーツ医学会の設立、初代理事長に就かれ、大会長として第1回学術集会を開催されるなど、わが国スポーツ医学の基礎を築かれました。
これらの功績により、1996年には日本医師会優功賞、1998年にはIOCオリンピックオーダー銀賞、同年に第1回秩父宮記念スポーツ医科学功労賞、2004年には瑞宝中綬章、2009年にはIOCクーベルタン賞を受賞されました。
黒田善雄先生のスポーツに対する情熱と献身的な姿勢をみならい、当機構役員・職員一同、そのご意志を継承していきたいと思います。